ごあいさつ

 本会の活動も10年を超え、2代めの馬野範雄代表から代表を引き継ぎました。初代、木原俊行代表のもとで開催した2013(平成25)年度の「生活科・総合的学習教育セミナー」のテーマは、「生活・総合の授業づくりと教師の力量形成」でした。生活科・総合的学習の実践には、教員として多岐にわたる力量が求められ、教員人口の大幅な入れ替わりもあり、管理職から見た子どもたちや教師の成長、若手教員とミドルリーダーの連携、若手教員による実践と自己の成長などについて議論を深めました。

 

 その後、学習指導要領が改訂され本格的に「探究」の時代となりました。直後にコロナ禍を経験し、全国一斉臨時休業やオンライン授業など学校のあり方が変化し、教師の力量も問われましたが、日本の教員は国際的に高く評価されました。ところがその後、教職離れや働き方改革が課題となり、同時に、加速度的な発展と広がりを見せるAIが登場しました。私たちはこの12年間で、多くの新しい経験をしてきました。一方、国内外の社会情勢に目を向けると、各地での戦争や紛争、気候変動による異常気象の激化や海面上昇、生態系の変化や食料不足、人口の急激な増加と高齢化・都市への人口集中など、SDGsに関連する喫緊の現代的諸課題に直面しています。はたして、今日産まれた子どもが生きる20年後には、どのような世界になっているのでしょう。そして、そのときに必要な資質・能力とはどのようなもので、今、どのような教育が求められるのでしょうか。

 

 新しい教育のあり方について中心的な課題となっているのが、「多様性の包摂」です。大阪は、同和教育、在日外国人教育、障がい児教育で全国を先駆けてきました。そして、いわゆる「しんどい子」を中心に据えた「公正に個別最適な学び」を、集団づくりを大切にして実践してきました。2025年度の生活科・総合的学習教育セミナーのテーマは、「学習指導要領改訂の動向と生活科・総合的学習のこれから」ですが、私は、大阪の「人とかかわる生活科・総合的な学習」で培う「学力」が、20年後の社会にも求められる資質・能力であると考えています。ぜひ、本会に集い、子どもを中心に据えた活き活きとした生活科・総合的な学習(探究)を、一緒に創造しましょう。

 

日本生活科・総合的な学習教育学会 大阪支部代表(2025~) 佐久間敦史